ゲスト 石川県「銭屋五兵衛記念館」学芸員 濱岡伸也氏

2024/05/17(金)
ゲスト
石川県「銭屋五兵衛記念館」学芸員
濱岡伸也氏

銭屋五兵衛記念館は、五兵衛の偉業をベースに地元金沢の歴史も全国に紹介する目的で平成9年に開館しました。今回は、江戸時代中心に近世史が専門の濱岡氏にお話を伺いました。

北前船主としての五兵衛の活躍は、39歳からでした。銭屋は、両替商を中心に営んでいたことから、担保に取っていた船がきっかけで廻船業に乗り出しました。
人生40年の時代、39歳からはじめた廻船業が大船団となり、持ち船は大坂だけでなく各地の支店に船を配置し、春になるとそれぞれの港から船を出港していました。これはこの館に展示されている地図からもわかります。その一つ能登の西海岸は、砂浜が多くコロで引き上げ港がなくても船が置けたのだと言います。

また五兵衛が加賀藩の財政に大切な役割を果たした例として、秋に収穫される米をご紹介していただきました。北前船で米を運ぶのが春だったことから、それまでの間の藩の予算は、秋に収穫したお米を担保に五兵衛が提供していたそうです。

五兵衛と同じ時代に活躍していた豪商に、輪島の久保屋喜兵衛がいました。久保屋は代々喜兵衛を名乗り北前船で活躍しており、輪島の住吉神社に石像物を寄進していたとのこと。能登には、地理的な条件や経済的な条件から廻船業に従事する人が多かったのだと言います。


画像は館内にある北前船の4分の1の模型です。