江戸時代から続く港町・室津の魅力 ー 歴史と文化を次世代へ

2024/06/21(金)

港町・室津は、江戸時代から交易の拠点として栄え、多くの文化や交流の歴史を刻んできました。その貴重な歴史を守り、未来へとつなげるために活動しているのが「嶋屋友の会」です。本記事では、「嶋屋友の会」の事務局長の柏山泰訓さんとの対談をもとに、室津の魅力と、それを伝え続ける取り組みについて紹介します。

室津の歴史と「嶋屋友の会」の取り組み

兵庫県たつの市にある室津港は、江戸時代に朝鮮通信使や北前船の寄港地として大いに賑わいました。そんな歴史ある港町の文化や記憶を守り、次世代に伝えようと活動しているのが「嶋屋友の会」です。

そして、この活動を率いるのが、「嶋屋友の会」の事務局長であり、室津海駅館の専門委員でもある柏山泰訓さん。柏山さんは、室津海駅館や室津民俗館の運営にも携わり、朝鮮通信使や北前船の歴史的価値を広めるための取り組みを行っています。特に、若い世代に向けた朝鮮通信使の絵本制作・展示活動を通じて、地域の歴史文化の普及にも尽力されています。

室津海駅館と室津民俗館の役割

現在、室津には二つの資料館があります。室津海駅館は、江戸時代の廻船問屋「嶋屋」の建物を使用した資料館で、港町・室津がどのように外部とつながりを持っていたのかを展示する施設。一方、室津民俗館では、地元の祭りや漁業など、地域文化に関する展示が行われています。

室津海駅館では、主に三つのテーマで展示が行われています。

  • 江戸時代の廻船問屋「嶋屋」の仕事
  • 参勤交代の際に西国大名が利用した港としての役割
  • 朝鮮通信使やオランダ人の江戸参府など、国際交流の歴史

このように、室津の港が果たした役割を知ることができる貴重な場所となっています。

朝鮮通信使の歴史を伝える絵本制作

「嶋屋友の会」では、特に朝鮮通信使の歴史を若い世代に伝えることに力を入れています。その一環として、朝鮮通信使をテーマにした絵本を制作しました。

「歴史を知るには、文字よりもイラストのほうが伝わりやすい」との考えから、視覚的に分かりやすく伝えることを重視。正確な史実に基づいた描写をするために、イラストレーターと共に綿密な調査をしました。この絵本の原画展も各地で開催されています。

室津の魅力を次世代へ

室津という港町の歴史を守り伝えることは、単なる文化財の保存ではなく、地域の魅力を高める大切な活動です。市民と行政が協力しながら、歴史文化の継承を進め、新たな地域づくりの形を生み出しています。

「地方が元気になれば、日本全体も活気づく」。柏山さんのこの想いは、地域の未来を支える大切な考え方です。室津の歴史と文化が、これからも多くの人に親しまれ、受け継がれていくことを願っています。

関連情報

※詳細は公式サイトなどでご確認ください。

※写真は、嶋屋が綿花の肥料として蝦夷地で買い付けた羽鰊(はにしん)。