北前船日本遺産に新たな物語を紡ぐ 〜村上市の千年の歴史と文化を訪ねて〜
村上市が「北前船日本遺産」に追加認定!
2024年6月、新潟県村上市が「北前船日本遺産」に新たに追加認定されました。村上市は、江戸時代から続く城下町の風情が残る街で、鮭文化や伝統工芸など、千年以上の歴史を持つ文化が息づいています。そんな村上市と北前船の関わりについて、新潟県村上市生涯学習課文化行政推進室の竹内裕氏にお話を伺いました。
村上市ってどんなところ?
新潟県の最北に位置する村上市は、山形県の鶴岡市と隣接し、日本海に面した美しい街です。海岸線は約50キロメートルにわたり、昔から北前船の寄港地として栄えてきました。三面川(みおもてがわ)が流れ、豊かな自然と共に育まれた歴史文化が、今では大切な観光資源となっています。
特に「笹川流れ(ささがわながれ)」という美しい岩礁景観は、名勝天然記念物にも指定されているほどの絶景スポットです。
村上市の文化と観光スポット
村上市は、歴史的な町並みが残る城下町として知られています。江戸時代の地図を片手に、当時の雰囲気を感じながら街を歩くことができるのも魅力のひとつです。
また、次のような特産品や文化が受け継がれています。
- 鮭を使った食文化: 村上市の三面川では、毎年多くの鮭が遡上します。その鮭を活かした100種類以上の料理法が伝わっており、「塩引き鮭」や「鮭の酒びたし」などが有名です。
- 日本最北の茶どころ「村上茶」: 村上茶は、日本で最も北にある茶の産地。雪深い地域で育つ茶葉は、独特の旨みと香りが特徴です。
- 伝統工芸「村上木彫堆朱(むらかみきぼりついしゅ)」: 漆を使った精巧な彫刻技法で作られる工芸品。江戸時代から続く技術が今も職人によって受け継がれています。
村上市の「北前船日本遺産」について
今回の村上市追加認定では、17件の構成文化財が登録されました。その中でも特に注目されるのが、岩船地区の八坂神社に奉納された「船絵馬(ふなえま)」です。これらの絵馬には、当時の北前船の様子が描かれており、村上市と北前船の深い関わりを伝えています。
また、三面川の河口にある瀬波港には、かつて北前船が係留されていた杭跡も残っています。これらの遺構が、往時の海運の様子を今に伝えているのです。
村上市の伝統的なお祭り
村上市では、北前船と関わりの深い祭りが今も続けられています。特に有名なのが、瀬波祭り(9月)と岩船祭り(10月)です。
これらの祭りでは、2階建てのお祭りの屋台の上に船を載せるという独特のスタイルが特徴で、北前船文化との深いつながりを感じることができます。また、お囃子(はやし)は、北前船を通じて北海道や東北地方から伝わったと言われており、地域の歴史的背景が色濃く反映されています。
祭りは地域の人々にとって、単なるイベントではなく、歴史文化を次世代に受け継ぐ大切な機会でもあります。子どもたちもお囃子の練習に参加し、伝統を体験しながら学ぶことができるのです。
村上市の未来へ向けた取り組み
村上市の文化行政を担当する竹内さんは、「北前船の日本遺産としての追加認定をきっかけに、多くの人に村上市の文化や歴史を知ってほしい」と語ります。
竹内さん自身、50キロに及ぶ海岸線を実際に歩き、かつて北前船で航海した人々の苦労や思いを体感しました。その経験を通じて、より深い理解と共感を持って歴史を伝えていきたいと考えています。
こうした丁寧な調査や研究、そして積極的な情報発信を続けることで、村上市の豊かな文化は地域の大切な誇りとして守られ、次の世代へと受け継がれていくことでしょう。
まとめ
- 村上市は2024年6月、北前船日本遺産に追加認定された。
- 城下町の歴史や、鮭文化、村上茶、伝統工芸など豊かな文化が残る。
- 北前船ゆかりの文化財が17件登録され、船絵馬や港の遺構など貴重な歴史が息づく。
- 瀬波祭りや岩船祭りなど、北前船文化と関わりの深い祭りが今も受け継がれている。
- 文化行政の取り組みを通じて、地域の歴史が未来へと継承されている。
北前船が紡いだ歴史と文化を、ぜひ村上市で体感してみてはいかがでしょうか?
関連リンク
※写真は、【公式】新潟県のおすすめ観光・旅行情報!にいがた観光ナビより引用

