アイヌ文化と北前船 〜歴史がつなぐ伝統の物語〜
北海道白老町の「ウポポイ」は、アイヌ文化を学べる日本唯一の施設です。「国立アイヌ民族博物館」「国立民族共生公園」「慰霊施設」の3つがあり、アイヌの歴史や暮らしを伝えています。今回は、ウポポイでアイヌ文化を伝える押野朱美氏にお話を伺いました。
アイヌの伝統舞踊と文化
アイヌ古式舞踊は、祈りや季節の行事などで踊られる伝統的な踊りで、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。押野さんは、「国立民族共生公園」で、この貴重な踊りを披露しながら、アイヌの人々が大切にしてきた文化を伝えています。
さらに、アイヌには「カムイ(神々)の話」と呼ばれる神話や伝承があり、押野さんは本番組でアイヌ語を交えながらそのお話を語ってくれました。アイヌ語の響きはとても美しく、物語を聞いているとまるで昔にタイムスリップしたかのような感覚になります。
北前船とアイヌ文化のつながり
江戸時代から明治時代にかけて、日本海を行き来していた北前船は、さまざまな地域の文化や産物を運ぶ重要な役割を果たしていました。実は、アイヌ文化とも深いつながりがあります。
「国立アイヌ民族博物館」の館長・佐々木史郎氏は、2023年6月に、清(中国の王朝)の官服として使われた「蝦夷錦(えぞにしき)」がアイヌ文化と北前船を通じてつながっていることを紹介しました。アイヌの人々が交易を通じて日本各地や海外と交流していたことがわかります。
また、北海道江差町に伝わる「江差追分(えさしおいわけ)」という民謡にも、アイヌ語の影響があると言われています。押野さんは、幼い頃から近所の人に江差追分を教わり、今年2024年9月には「江差追分全国大会」にも出場されたそうです。
番組でも披露された江差追分
押野さんは、本番組「チェンバリスト明楽みゆきの浪漫紀行」でも、江差追分を披露してくださいました。その歌声はとても力強く、歴史の重みを感じさせるものでした。
アイヌの文化や歴史に触れることで、日本のルーツの一つを知ることができると思います。ウポポイを訪れたり、伝統舞踊や江差追分を聞いたりして、ぜひアイヌ文化の魅力を感じてみてください!
ゲストプロフィール
押野朱美(おしの あけみ)氏
北海道白老町在住。(公財)民族共生象徴空間運営本部文化振興部の職員。アイヌ民族の伝統文化の継承者として、「国立民族共生公園」にてアイヌ古式舞踊を披露しながら、アイヌの暮らしや文化を紹介する活動を行っている。幼少期から祖母や双子の妹とともにアイヌの歌・踊り・口承文芸に親しみ、文化の伝承に努めてきた。江差追分にも精通し、2024年の「江差追分全国大会」に出場。
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