塩の道から松本城まで:松本市の歴史と文化を知る旅

2024/08/09(金)

皆さん、長野県松本市にある「松本市立博物館」をご存じでしょうか?今回は、博物館で学芸員を務める武井成実氏と、松本市教育委員会文化財課の竹内靖長氏に、松本市の歴史や文化、自然についてお話を伺いました。松本城をはじめとする歴史ある街並みや、松本の文化、そして地域の魅力を深掘りしていきます。

松本市立博物館とは?

松本市立博物館は、1906年(明治39年)に設立された歴史ある博物館です。松本市の歴史や文化、自然に関する幅広い展示を行っており、地元の方はもちろん、観光客にも人気のスポットです。

民俗学の視点から見る松本

武井さんの専門は「民俗学」。民俗学とは、人々の暮らしに関するさまざまな事柄を研究する学問です。特に、お盆の行事やお墓の文化など、地域に根付いた風習についての研究をされています。

また、松本市には「道祖神(どうそじん)」が多く祀られていることでも知られています。道祖神は、旅人の安全や地域の安泰を祈る神様で、江戸時代後期から盛んに建立されました。松本の街を歩くと、道祖神の石像が道端や村の入口に点在しており、その土地の人々の信仰心を感じることができます。

松本市のお祭りと伝統行事

松本市では、年間を通じてさまざまなお祭りが開催されます。その中でも、「八日(ようか)」と呼ばれる行事は、地域の厄払いとして有名です。毎年2月8日に行われ、地域の人々が大きな藁馬(わらうま)を作り、町を巡って厄を払った後、最後に燃やして清めるという伝統があります。

松本の自然と温泉

松本市は標高約592mの場所に位置し、周囲を山々に囲まれた自然豊かな地域です。特に、上高地は標高が高く、夏でも涼しく過ごせる観光地として知られています。

また、松本は温泉地としても有名で、市内にはさまざまな温泉があります。博物館では、松本の温泉文化についても紹介しており、温泉好きな方にはぜひ訪れてほしい展示となっています。

日本100名城・国宝「松本城」

松本市といえば、日本100名城のひとつであり、国宝に指定されている「松本城」があります。松本城は、日本最古の五重六階の天守を持つお城で、その美しい姿から「烏城(からすじょう)」とも呼ばれています。

松本城は戦国時代に建てられたため、戦いに備えたさまざまな工夫が施されています。例えば、鉄砲を撃つための小窓や、敵を迎え撃つための「石落とし」など、戦国時代の名残を今でも感じることができます。

松本藩と「塩の道」

松本市は海から遠い内陸に位置していますが、物流の要所として発展しました。特に、「塩の道」と呼ばれるルートを通じて、日本海側の糸魚川(いといがわ)から塩や海産物が運ばれてきました。

また、江戸時代にはタバコの生産が盛んで、松本で作られた「木幡葉タバコ」は、江戸の町で流通するタバコの20%を占めるほど人気がありました。その他にも、輪島塗や山中塗(山中漆器)、唐津焼など、全国各地の特産品が松本に集まり、ここから各地へと流通していきました。

企画展「生物多様性と松本」

現在、松本市立博物館では「生物多様性と松本」という企画展を開催中です。松本市は、世界的にも生物多様性が高い地域とされており、その豊かな自然環境について学ぶことができます。企画展は2024年9月2日までの開催となっているので、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

まとめ

松本市立博物館では、松本市の歴史や文化、自然について詳しく学ぶことができます。また、国宝・松本城や、塩の道をはじめとする街道の歴史など、松本には見どころがたくさんあります。観光や学びの場として、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

ゲストプロフィール

武井成実氏
松本市立博物館の学芸員。専門は民俗学で、特にお盆の行事やお墓の文化について研究している。

竹内靖長氏
松本市教育委員会文化財課・城郭整備担当課長。松本城の保存・整備を担当し、城下町の発掘調査にも関わる。

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