日本遺産に認定!美浜町で出会う北前船と国吉城の歴史

2024/10/11(金)

福井県美浜町には、歴史を感じられる場所がたくさんあります。戦国時代に築かれた国吉城や、江戸時代に栄えた北前船の寄港地としての歴史が今も息づいています。今回は、美浜町の文化財保護と歴史研究に関わる大野康弘氏に、町の魅力やこれからの展望についてお話を伺いました。

戦国時代の要塞・国吉城

国吉城は、戦国時代に若狭国の国境を守るために建てられたお城です。越前の戦国大名・朝倉氏から何度も攻められましたが、10年間持ちこたえた「難攻不落の城」として知られています。

2000年からの発掘調査で、最初は木造だった城が後に石垣造りへと変化したことが明らかになりました。これは当時の記録にはなかった新たな発見で、国吉城の価値が再評価されるきっかけになりました。その結果、「続日本100名城」に認定されました。

現在、登山道が整備されていて、30分ほど登ると本丸跡に到着します。山頂からの360度のパノラマビューは圧巻で、美浜町の豊かな自然を楽しむことができます。

日本遺産に認定された北前船の寄港地・美浜町

江戸時代から明治時代にかけて、美浜町は北前船の寄港地として発展しました。その歴史的な価値が認められ、2024年6月に日本遺産として追加認定されました。

町には、北前船に関連する貴重な文化財が17点も残っています。たとえば、早瀬地区の昔ながらの町並みや、船主の家に伝わる古文書、神社に奉納された船絵馬などがあります。なかでも、福井県内で最も古い年号が記された船絵馬や、北前船の船主たちが滋賀県・長浜の曳山を参考にして作った舞台付きの曳山(山車)は、当時の繁栄を物語る貴重な資料です。

さらに、最近になって発見された北前船の模型や、当時の航海で使われた方位磁石、海路図を収めた船箪笥(ふなだんす)なども、日本遺産の構成文化財として登録されています。

11月に開催される北前船寄港地フォーラム

2024年11月、「第35回北前船寄港地フォーラム」が石川県と福井県で合同開催されます。美浜町では、23日に見学ツアーが予定されており、環境にやさしい電池推進の遊覧船で久々子湖(三方五湖のひとつ)を巡るツアーが行われます。

また、「レインボーライン」からの絶景も見どころのひとつです。梅丈ヶ岳(ばいじょうがたけ)山頂公園からは、若狭湾のリアス式海岸や美浜町の街並みを360度見渡すことができます。

このフォーラムでは、美浜町の歴史や観光の魅力を再発見する良い機会となりそうです。

まとめ

美浜町は、戦国時代の城と江戸時代の海運文化が共存する珍しい町です。国吉城の研究や、北前船に関する文化財の発掘によって、その歴史的な価値があらためて注目されています。

大野さんのお話を通じて、美浜町の歴史は過去のものではなく、今も息づく貴重な文化財であることが伝わってきました。これからも町の魅力を未来へ受け継ぎ、多くの人に知ってもらいたいですね。

ゲストプロフィール

大野康弘(おおの やすひろ)氏
福井県美浜町教育委員会事務局生涯学習推進課参事。若狭国吉城歴史資料館館長および美浜町歴史文化館館長を務める。城郭研究を専門とし、特に国吉城の発掘調査や研究において中心的な役割を果たす。美浜町の北前船寄港地としての日本遺産認定にも貢献。

関連リンク

※写真:福井県三方上中郡若狭町 三方五湖レインボーライン三方五湖駐車場からの美浜町の風景