【オンライン浪漫紀行】富山県高岡市〜昆布がもたらした歴史と魅力〜

2024/11/24(日)

富山県高岡市は、美しい自然と歴史的な建物が調和する魅力的な街です。また、日本一の昆布消費地としても知られ、昆布を使った料理や文化が根付いています。今回は、そんな高岡市で昆布締め専門店「クラフタン」と「昆布の宿 KOMBU HOUSE」を営む竹中志光さんに、高岡市の魅力や昆布の奥深さについて伺いました。

富山県高岡市の魅力

富山県は日本の真ん中あたりに位置し、美味しい海の幸が豊富な地域です。特にホタルイカや白エビ、寒ブリが名産で、「お寿司と言えば富山県!」というほど、美味しいお寿司が楽しめます。

高岡市は富山市の西にあり、歴史的な建築物や文化が残る街です。

  • 瑞龍寺(ずいりゅうじ):禅宗の曹洞宗の寺院で、美しい建築が特徴。国宝に指定されています。
  • 勝興寺(しょうこうじ):浄土真宗のお寺で、江戸時代の本堂が国宝に指定されています。
  • 高岡大仏:奈良、鎌倉に並ぶ日本三大仏の一つ。鋳物の技術で作られた青銅製の大仏で、拝観料無料!
  • 高岡御車山祭り:5月1日に開催される祭りで、美しい山車が街を巡ります。
  • 雨晴海岸:海越しに標高3000メートル級の山々が見える絶景スポット。
  • 高岡古城公園:天守閣はありませんが、日本100名城に選ばれた歴史ある公園です。
  • 藤子・F・不二雄先生の故郷:ドラえもんにゆかりのある「おとぎの森公園」や「ドラえもんトラム」が楽しめます。

また、高岡市では世界中で使われる「アロンアルフア(瞬間接着剤)」が製造されていることも有名です。

昆布締め専門店「クラフタン」と昆布の宿「KOMBU HOUSE」

竹中志光さんは、高岡市で昆布締め専門店「クラフタン」と昆布の宿「KOMBU HOUSE」を営んでいます。

クラフタンは、富山の郷土料理「昆布締め」を専門としたお店。魚だけでなく、お肉や野菜も昆布締めにして提供しており、地酒やクラフトビールと一緒に楽しめます。

KOMBU HOUSEは、一組限定の宿で、伝統的な千本格子の町並みに溶け込む落ち着いた宿です。

  • 昆布BAR:昆布出汁を使ったカクテルを楽しめる
  • 昆布尽くしのコース料理:昆布を存分に味わえるディナー
  • 昆布エステ:昆布由来のオイルやクリームを使った美容施術
  • 昆布足浴:羅臼昆布を使った足湯でリラックス
  • 昆布締め作り体験やおぼろ昆布削り体験など、昆布を堪能できるプランが満載です。

なぜ富山県は昆布大国?

昆布は北海道が主な産地ですが、実は富山県は日本一の昆布消費地です。その理由は4つあります。

  1. 北前船の影響:
    北前船は、江戸時代から明治時代にかけて日本海沿岸を往来し、多くの物資を運びました。特に昆布は軽量で保存性が高く、商取引の面で非常に価値がありました。富山は北前船の主要な寄港地の一つであり、北海道から運ばれた昆布の一大流通拠点となりました。これにより、富山では昆布を利用した独自の加工技術が発展し、とろろ昆布やおぼろ昆布といった食品文化が根付いていきました。現在も、富山の市場や家庭では昆布が広く親しまれ、料理に欠かせない存在となっています。
  2. 北海道への移住:
    富山県からは江戸時代から明治時代にかけて多くの人々が北海道へ移住しました。特に漁業に関わる人々が多く、北海道周辺の漁場で昆布漁の開拓が進められました。なかでも羅臼町では、住民の約7割が富山県出身とも言われており、昆布漁を中心とした文化や産業が受け継がれています。富山と羅臼昆布の関係は深く、羅臼昆布の大半が富山県で消費されるとも言われており、昆布を通じた強い結びつきが現在まで続いています。
  3. 精進料理文化:
    富山県は浄土真宗の信仰が厚く、精進料理が根付いています。肉や魚を使わないため、昆布は旨味を引き出す出汁として不可欠でした。法要や年中行事でも昆布料理が振る舞われ、食文化として発展してきました。
  4. 富山の薬売り:
    昆布は昔、中国で薬として高値で取引されており、特に甲状腺の病気に効果があるとされていました。江戸時代には、薩摩藩が琉球経由で昆布を中国へ密かに輸出しており、その取引を手助けしていたのが富山の薬売りでした。この密貿易により、薬売りたちは中国から漢方薬の原料を安価に仕入れることができ、富山の薬産業の発展にもつながりました。その影響で、富山でも昆布が健康食として広まり、現在に至るまで食文化の一部として根付いています。

昆布の健康効果

昆布には健康に良い成分がたくさん含まれています。

  • ミネラルや食物繊維が豊富:腸内環境を整え、免疫力を高める。
  • ストレス解消:昆布出汁の香りにはリラックス効果がある。
  • 高血圧予防:カリウムが塩分の排出を助ける。
  • 甲状腺機能をサポート:ヨウ素が含まれ、ホルモンバランスを整える。
  • 認知症予防:腸と脳の関係(腸脳相関)から、昆布の食物繊維が脳の健康にも良いと考えられる。

また、出汁昆布を水に漬けるだけで作れる「昆布水」は、

  • 感染症や熱中症予防
  • 味覚障害の改善

といった効果も期待できます。

竹中さんのお祖父様は毎日昆布水を飲んで99歳まで元気に過ごされたそうです。

昆布の未来 – 環境への貢献

近年、ウニが大量発生し、海藻を食べ尽くす「磯焼け」という問題が全国的に発生しています。これを解決するため、富山県氷見高校の学生たちが、昆布の使用済み素材を活用してウニを育てる取り組みをしています。

昆布の文化を守ることが、自然環境の保全にもつながるのです。

まとめ

昆布は富山県にとって、食文化だけでなく、歴史や健康、環境問題にまで深く関わる存在です。竹中志光さんの「クラフタン」や「KOMBU HOUSE」では、昆布の魅力を存分に体験できるので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

ゲストプロフィール

竹中志光(たけなかしこう)さん

富山県高岡市在住。昆布締め専門店「クラフタン」、昆布の宿「KOMBU HOUSE」オーナー。

  • 2017年: 昆布締め専門の飲食店「クラフタン」オープン
  • 2023年: 昆布の宿「KOMBU HOUSE」オープン